調理方法の3本柱は焼く・蒸す・煮るですね。真空調理法はこれらに続く第4の調理法として開発されました。
生の食材を調味料と一緒に真空パックにし、低温で調理する事で加熱に弱い栄養素を破壊せずに仕上げます。
肉等は食感が非常に柔らかくなるため人気を博し、発祥の地のフランスから世界中に広まり、業務用を中心に使われるようになりました。
今や真空調理器は多く出回っていますが、今回はその中でもおすすめの製品を紹介します。
ユラボ社フュージョンシェフ・サーキュレーター
まず始めにおすすめする業務用真空調理器は、ドイツのJULABO(ユラボ)が世界的に有名なシェフと共同開発したPremiumSousVideCollection(ユラボ社フュージョンシェフ・サーキュレーター)です。
ユラボはヨーロッパスタンダードの温度制御専門メーカーで、他社メーカーと比べて温度の安定性と精度が非常に高いのが特徴です。
真空調理器は真空パックした食材をトレイに載せて加熱するタイプが多く出回っていますが、トレイに載せると触れている部分とそうでない部分との温度差が出てしまいます。
一方で、ユラボ社はお湯を循環させた中に食材を投入する仕組みになっているため、全面から食材を均一に温める事が可能です。
ですので、長時間の加熱調理にも相性は抜群で、丸1日を超える煮込み料理にも容易に対応する事ができます。
また構造もシンプルなので手入れしやすいので、自分達の手で清潔に保つ事ができます。
フュージョンシェフには、パールとダイアモンドがありますが、ダイアモンドであればオプションで芯温度センサーを取り付ける事ができます。
バス付を選んだ場合はキッチンに合わせてバスの大きさを決める事ができますが、XSの13リットルバスでは約5kg、XLの58リットルバスになると約27kgの食材を入れる事ができます。
因みに、このバスはアクセサリとしてセパレーショングリッドを付ける事も可能です。
バスの間仕切りとして使用する事で、調理時間を分けたい時や、真空パックごと分離させたい時に便利です。
他にはEasy fusionchefソフトウェアを別途購入すれば、データを記録して調理作業を視覚化する事ができます。
このように、世界水準の調理器であるだけに国内外の超一流店で導入されていますが、ハイスペックだけにかなりの高値です。
また海外からの輸入品であるため、コネクタがヨーロッパ標準になってしまうのが欠点として挙がります。
どうしても200V用電源口に合わせたオスコネクターへの切り替えが必要になってしまうのです。
しかしながら、輸入品であっても1年保証が付いている他、故障した場合には日本国内でメンテナンス対応できるため安心です。
PRO-100
2つ目に紹介する業務用真空調理器は、アクシアインターナショナル株式会社(ANOVA社)の「PRO-100」です。
ANOVA(アノーバ)は低温調理装置の研究に実績があり、アメリカ合衆国でも大変有名な会社です。
特に温度コントロールには自信があり、温度誤差は殆ど生じません。
中でも「PRO-100」は35~40リットルの水量で使う事ができ、1分当たり26リットルの攪拌能力を保有しているため、温度ムラが生じにくいのが特長です。
温度設定も25度から90度までの範囲内なら0.1度刻みで温度調節できるため、繊細な調理が可能となっています。
安全対策も万全で、ポットの水位が下限値を下回ると水位警報アラームが鳴り、電源供給を停止してくれます。
TC-900
3つ目に紹介する業務用真空調理器は、石崎電機製作所が手掛けた「TC-900」です。
まず業務用として大変魅力的なのが、操作パネルに水がかかっても問題がないIPX7準拠の防水仕様である点です。
攪拌も電動ポンプ式なので、力強く水流を生み出す事ができ、温度を均一に保つ力が強いです。
本体は安定感のあるネジ固定式で、調理時間は1分単位、温度は0.1度単位で設定する事ができます。
なんと時間設定は最大99時間まで入力可能です。
安全対策としてAC100Vの差込プラグにはアースを付けており、最低・最高水位感知と温度過昇防止機能がついています。
調理時間と温度設定のみで操作がシンプルな上、本体質量も約1.53kgと軽く、持ち運びも便利なのがポイントです。
何より信頼できるのが国産だという点です。
最大水量が30リットルと「PRO-100」よりやや水量は劣りますが、その容量でも十分だという店舗であればお勧めの製品です。
なぜ真空調理器は多くの飲食店で使われるようになったのか?
真空調理器は、素材の酸化を乾燥を防ぎ鮮度管理しやすくなる上、食材の細胞を壊さずに加熱できるため、最高の食感と旨味を引き出す事ができます。
ですので、真空パック内で調理する事で、調味料が食材に均一に行き渡る一方で、アロマや旨味・栄養素は一切逃がさない事も魅力です。
さらには人的要因による品質のムラを防げる上に調理時間も短縮できるため、現代の飲食店によっては必需品になりつつあります。
しかしながら、真空調理には最適な温度管理と厳格な衛生管理が要求されるため、本格的に導入するのであれば製品はもちろんの事、社員教育に対してもある程度の投資が不可欠です。
ベテランシェフが培った経験や勘を数値化できる事も真空調理器の特徴なので、妥協する事なく機能のしっかりした真空調理器を選ぶ事が非常に大切です。
真空調理器を使いこなして、誰が作っても安全で美味しい料理を提供できるようにしてあげて下さいね。