「このエスプーマ、シャバシャバじゃねーか!!」
「何やってんだ!!ちゃんとガス入れたのか!?」
とある飲食店で働いていた時に先輩から言われた言葉です。
そんな時、僕の拳はプルプルと震えていたが、先輩なのでというか、人として殴るわけには行かないので、顔では申し訳なそうな顔をして、
「すいませんでした。」(ペコリと頭を下げる)
と心にも思ってない言葉を口にするのであった。
という経験をしたことがあるのは僕だけではないのではないでしょうか?
それくらいエスプーマという調理器具は世界中に浸透しています。
そしてエスプーマを使うに当たって必要不可欠な物が二つあります。
- ガス
- 凝固剤
ガスはともかく凝固剤は必ずしも必要とは限りませんが、理想の食感のエスプーマを作るには凝固剤での濃度の調整というのが必要になってきます。
エスプーマガスについては別記事に書いていますので、今回はエスプーマの凝固剤について説明いたします。
スペインの3つ星レストラン「エル・ブジ」
エスプーマの凝固剤について語るのはいいけど、あんたそんなに詳しいのか?
と思う方もいるかもしれないので、簡単に僕の経歴についてご紹介します。
埼玉県の高校を卒業後、都内の調理師専門学校を1年で卒業し調理師免許を取得。
そのまま都内のカジュアルレストランに勤務し始め、キャリアをスタート。
偶然の出会いから、25歳と99日でスペインの3つ星レストラン「エル・ブジ」で研修することに。
約半年の研修期間を終え、日本に帰国。
働きながら貯金をして2年後にはワーキングホリデーを使ってフランスに留学。
1年を終了する前に学生ビザを取得し、さらに1年延長する。
日本に帰国し麻布十番のフレンチレストランのスーシェフとして働きはじめ、そこで出会ったソムリエとフレンチレストランを開業。
雇われの料理長として3年勤務。
その後、飲食店の立ち上げや手伝いをしながら、厨房機器販売の会社を設立。
そしてこの厨房機器の教科書を運営し、今に至ります。
そんな僕が、これまでのエスプーマ の凝固剤の変遷や使い方などについて解説いたします。
ぜひ、最後までお読みいただいて、お役に立てたら嬉しいです。
エスプーマの凝固剤の変遷とは?
僕の体験を元にエスプーマの凝固剤の変遷をご紹介します。
初めてのエスプーマ
僕が一番初めに働いた飲食店ではエスプーマという調理器具は置いていなかった。
単純にエスプーマが必要な店ではなかったというのもある。
僕が、エスプーマという調理器具に出会ったのは西麻布にある2店舗のフュージョン料理でのお店でだ。
学校の授業でエスプーマという調理器具は知っていた。
しかし、実物を見るのはその店舗でが初めてだった。
正直、使い方もよくわからずに使っていた。
忙しいお店で、丁寧に教えてくれる人もいなかったので、使い方を覚えるのも一苦労だった。
今では、当たり前にあるし、情報がたくさんあるのでそこまで苦労しないだろうが、当時はスマホもない時代だ。
みんなガラケーを使っていて、レシピを写メする奴なんていなかった。
そんな初めてのエスプーマ体験は当然冷たい、エスプーマで食材を固める凝固剤はエバルド社の板ゼラチンを使用。
ちなみに、この当時にエスプーマアドヴァンスというものもなかったのでガスはカートリッジ式のものしかなかった。
そして、ほどなくして次の店に移った。
というのも労働条件が良くなかった事と、エスプーマのような新しい料理を作る事に興味を持ったからだ。
エスプーマ についての詳細はこちら
衝撃の温かいエスプーマに出会った!
次の店ではいわゆる斬新な料理が売りのお店だった。
メニューの内容も「エル・ブジ」の用だし、提供スタイルも「エル・ブジ」のようだった。
つまりは、今までの料理とは全く別の考えの料理がそこにはたくさんあった。
そこで頭をハンマーで殴られた様な衝撃を受けたのが温かいエスプーマだった。
調理学校の授業で見たビデオでも、その前のお店で作ったエスプーマも冷たいものしか知らなかった。
しかし、その店には温かいエスプーマがあった。
しかも数種類もあって、自分の創造力の無さを嘆いた。
その温かいエスプーマを作る時に濃度をつけていた凝固剤は知っていますか?
30代以上の料理人の方ならわかるかもしれませんが、20代ではわからないのではないでしょうか?
正解はジャガイモのピューレと卵白です。
それぞれ、別々に使うものです。
特にスープ系のものはジャガイモのピューレを入れて濃度をつけてエスプーマに詰めていました。
それ以外の温かいエスプーマを作るときは卵白で濃度をつけていました。
卵白を使ってエスプーマを作るときは温度に注意しなければいけません。
あまり高温で温めてしまうと卵白が完全に凝固してしまって、口当たりの悪いエスプーマになってしまうからです。
そして、そこで働きながらスペインのレストランに行く事が決まった。
「エル・ブジ」で出会ったのは食材ですらなかった
25歳でスペインの山奥のレストランに修行に行くのは、不安があったかと言われれば多少はあった。
けれども、ドキドキやワクワクの好奇心の方が大きくて、あまり先のことは考えていなかった。
とりあえず働いて、まかない食べられて、寝るとこがあればなんとかなると思っていた。
世間知らずって怖いもんだ笑
そして「エル・ブジ」で出会ったエスプーマではすでにゼラチンとかジャガイモのピューレとか卵白とかそういうものではなかった。
食品メーカー?と協力して作った添加物だった。
「プロエスプーマCOLD」と「プロエスプーマHOT」だった。
若い料理人の人はこちらの方が良く知っているかもしれない。
研修当時すでに「エル・ブジ」ではそれを使っていた。
日本ではまだ輸入されていなかったのではないか。
そこから先の働いた店ではこれらの凝固剤のどれかを使っていた。
エスプーマのガスの違いについてはこちら
エスプーマの凝固剤とはどんなものがあるのか?
エスプーマで使う凝固剤は以下の5つを覚えておけば問題ないです。
- ゼラチン
- ジャガイモのピューレ
- 卵白
- エスプーマCOLD
- エスプーマHOT
葛粉や寒天を使うという人中にはいますが、あえて使う必要はないのではないでしょうか?
ではそれぞれどの程度の割合入れているのでしょうか?
エスプーマにする食材の元々の濃度によるので一概に○%とは言えないですが、目安としてご紹介します。
ゼラチン
ゼラチンはエスプーマにする食材の1.5~2%程度が目安となっています。
>>>粉ゼラチンと板ゼラチンの違い|原料は同じ?代用はできる?
じゃがいものピューレ
こちらも難しいですが、全体の4分の1や5分の1というのが多かったです。
卵白
卵白は総量の10%程度の卵白を加えて濃度をつけていました。
エスプーマ コールド
こちらは公式発表によると水分量に対して2〜10%となっています。
やはり、結構な開きがありますね。
エスプーマ ホット
こちらも公式発表によると水分量に対して5〜10%程度が目安になっています。
エスプーマの基本的なレシピについてはこちら。
エスプーマにオススメの凝固剤とは?
以上の凝固剤を使った経験からエスプーマに使う凝固剤のオススメはと聞かれたら、やはり「エスプーマCOLD」と「エスプーマHOT」が扱いやすいでしょう。
専用に作られているのでエスプーマの泡立ちも良いですし、長持ちします。
ゼラチンや卵白を使ってうまくいかなくて何回もやり直さなくてはいけないんだったら、最初から「エスプーマ コールド」や「エスプーマ ホット」を使った方が効率が良いと言えます。
むしろ、ゼラチンや卵白を使う理由がないのではないでしょうか?
ゼラチンは豚や牛のゼラチンを使っているので、肉アレルギーの場合は使えないということもあります。
「プロエスプーマシリーズ」は原材料に乳たんぱくが入っているので、卵アレルギー以外ならほぼ対応できますし、賞味期限が長いという特徴もあります。
ですので、エスプーマに使う凝固剤のオススメはSOSA社のプロエスプーマシリーズ「SOSAエスプーマCOLD」と「SOSAエスプーマHOT」ですね!
エスプーマに使える凝固剤のオススメのまとめ
いかがでしたでしょうか?
エスプーマに使える凝固剤のオススメについて解説しました。
結果はこちらです。
専用の凝固剤を使うのがオススメ
なぜなら手間がかからないからです。
ゼラチンや卵白を使って濃度をつけるとなると、食材を準備する手間や混ぜ込む手間がかかります。
それに比べて専用の凝固剤なら、ハンドミキサーで混ぜ込むだけで使用できます。
凝固剤自体は常温で保管しても問題ないのでとても使い勝手が良いです。
急に必要になった場合なども、仕込みが簡単ですね。
じゃがいものピューレを初めから作るとなると、時間がかかってしまいます。
それにより、休憩時間を削ったりするとなるとスタッフに負荷がかかってしまいます。
そうならない為にも専用の凝固剤を利用する事をオススメします。
エスプーマに関するお悩みや購入の相談は株式会社ナカイヤまでお問い合わせください。
エスプーマの使い方は以下の記事で詳しく解説しています。
その他のエスプーマに関するお役立ち情報は下記にまとめています。