料理人として独立開業を考えた時に、物件を探す事になります。
希望の地域で、希望の家賃で、希望の立地の店舗が見つかった時に悩むことがあります。
それは、居抜きかスケルトンか?
ということです。
開業資金に余裕があるならば、当然スケルトンの状態の方が0から作れるので嬉しいですが、実際問題スケルトンから店舗を作れるという人は少ないです。
そうなると必然的に居抜き物件での開業へと気持ちが切り替わるわけですが、そこでまた一つ悩みが出てきます。
それが造作価格というものです。
造作価格とは?
造作価格というのは、居抜き物件に残されている内装や厨房機器、空調設備などを次の借主が買い取るための費用のことです。
この場合の造作価格の設定方法というのは設備の使用年数や性能は関係なく、物件の価値によって(立地や集客力)設定することができます。
僕も以前先輩の独立開業をお手伝いするために、居抜き物件サイトや店舗探しをしていて造作価格というのは幅があるなと感じていました。
冷蔵庫、冷凍庫、真空包装機、3口ガス台、オーブン、サラマンダーなどの設備が整っていのに、造作価格が100万円の居抜き物件があったりします。
逆にガス台と冷蔵庫作業台くらいしか設備がないのに造作が300万円となっている居抜き物件などがありました。
なぜそんなに造作価格に差が出るのか、その当時はわかりませんでしたが、造作価格を調べてたらわかるようになりました。
飲食店厨房機器中古価格の設定方法とは?
造作価格というのは売主が自由に設定できるというのは理解できましたでしょうか?
では、本当の厨房機器の価格の設定方法はどのようにして決めているのでしょうか?
中古厨房機器の店舗では、どのような価格設定をしているのでしょうか?
中古の厨房機器は本当に価格分の価値があるのでしょうか?
造作価格というのは割高な価格設定をしているので注意するべきだ!
先ほども少し触れましたが、造作価格というのは内装や厨房機器の性能や使用年数を全く無視して、売主が決めることができます。
ということは、冷蔵庫一つだけしか厨房機器がなくても造作価格を100万円にすることもできます。
冷蔵庫は4つもあるけど、3つは壊れていて作動しなくても、造作価格は100万円にすることもできます。
居抜き物件で造作物をチェックする時は使用年数と作動するかどうかは必ずチェックすべきポイントです。
業態があまりにも違う場合も注意が必要です。
業態が似ている場合は、使う厨房機器が似ているのでそんなに無駄にはなりませんが、全く違う業態の場合は不用品まで含めて造作価格に含まれているので注意が必要です。
- 例えば、中華の独特ガスレンジはフレンチレストランでは使えないですよね?
- ラーメン屋のゆで麺機はおしゃれカフェには使えないですよね?
- サラマンダーがあっても使いこなせなかったらゴミですよね?
- 客席は20席なのに2槽式のフライヤーはいらないですよね?
このように、業態が全く違う場合やこれからあなたのやりたい業態に必要のない厨房機器の場合はゴミにしかなりません。
ゴミは捨てるしかありません。ゴミを捨てるにもお金がかかります。
つまり、造作価格を払ってゴミを引き取り、それを処分するのにお金を払う事になります。
これでは損しかしません。ですので、居抜き物件で店舗を始める時は造作価格注意をしなければなりません。
少しでも多くの現金を回収したいだけ
居抜き店舗を貸し出すということは、飲食店を閉店したということです。
閉店した理由は赤字経営だからとは限りません。
しかし、人手不足の閉店にしろ、後継者不足の閉店にしろ、赤字の閉店にしろ、店舗を動かしていない以上収益は生まれません。
なので、開業時に借りた融資金額の返済が残っているかもしれません。
閉店してしまった以上はそれ以上の収益が生まれないので、残っている厨房機器でできる限り資金を回収したいと考えています。
少しでも赤字資金を回収して、残りの分は働きながら返せるぐらいの金額にしたいと考えるはずです。
私ならそう考えます。
できるだけ借金は少なくして、店舗を閉じたいと考えます。
その考えが、造作価格の幅の広さの原因なのではないでしょうか?
造作価格100万円分の価値とは?
僕の知り合いで、五年前に居抜きで日本料理の飲食店をオープンした方がいます。
その際に業務用厨房機器一式(二枚扉冷蔵庫2台、二枚扉冷凍庫1台、ガラスショーケース冷蔵庫1台、3口コンロ、炊飯器、魚焼き機、電子レンジ、食器類)を造作価格100万円で購入しました。
果たしてこれは安い買い物だったのでしょうか?高い買い物だったのでしょうか?
業務用厨房機器一式(二枚扉冷蔵庫2台、二枚扉冷凍庫1台、ガラスショーケース冷蔵庫1台、3口コンロ、炊飯器、魚焼き機、電子レンジ、食器類)これらを、新品で購入するとしたら、当然100万円では足りません。
では、これはお得な価格だったのでしょうか?
全ての厨房機器が綺麗で使える状態で使えるような業態であれば安い買い物だったと言えるかもしれません。
しかし、少し視点をづらして考えてみます。
これらの厨房機器が必要なくなって中古厨房機器展に買取をお願いした場合、一体いくらくらいになるのでしょうか?
そんな厨房機器の価値を測るときに使うのが法定年数というものです。
厨房機器の法定年数というのは6年と決まっています。
これは国で決められたことなので、変えることはできません。
つまり法定年数の6年を経ってしまうとどんな厨房機器でも無価値となってしまいます。
もしも、厨房機器の使用期間が6年未満だった場合は一年で1/6の価値が減ると考えてもらえれば、厨房機器の価格の設定がしやすいと言えます。
ですので、中古の厨房機器を購入するときにもこの方程式に当てはめてみて、価格の判断をしましょう。
そうすることで、開業時の不安を少しでも取り除くことが出来ます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
飲食店厨房機器中古価格の設定方法をご紹介しました。
飲食店の開業時に気をつけることは造作価格と法定耐用年数ですね。
造作価格は売主の設定した価格で提示されるので、本当にそれだけの価値があるかどうかを判断するのは難しいです。
ですので、一つの指標として、法定耐用年数を用いて価値があるのか無いのかを判断して見てください!